医療安全セミナー2007 夏季
(日本語社会人教育プログラム)
2006年次に東京大学で開催した医療安全教育セミナーでは、日本語社会人教育プログラムにもかかわらず、近隣国からの参加者を交え、全国各地より多数の方が参加し、いずれも定数オーバーとなりました。リスクマネージメントのリーダー育成はハーバード大学で類似の教育セミナーが毎年開催され、全米各地と海外から多数の参加があります。アジアでもこのような機会の必要性を痛感し、友人である先方の主催者の協力を得て、世界学会として4年前から日本で開催していました。その後、日本では本分野の学術専門家が充実してきましたので、2006年からは日本人による講義を中心に進めています。
リスクマネージメント研究は、際限なく広がるリスク対策経費の適正化に対処するために、「効果的なリスク対策の実践のために、限りある資源の有効利用に必要となる科学的な意思決定システムの開発」を目標として欧米で1980年代から精力的に展開されていました。限りある医療資源の中で、安全な医療を供給するには、定量可能なリスクを基盤とするマネージメントの考え方と方法が基本です。
最近の日本は、超高齢化社会に突入し、医療と福祉の需要は日々増大し、医療機関と福祉施設での供給が追いつかず、医師、看護師、介護福祉士の不足と地域格差、戦場のような病院での医療事故リスクの増大、医療難民・福祉難民の激増が生じています。日本での医療・福祉供給システムの崩壊を食い止め、持続可能なシステムに転換するには、人・金・物・情報を基本要素とするマネージメント学の立場から総合的に検討をする必要があります。そこで、本セミナーでは、この分野の第一線の学術研究者による特別シンポジウムも行われます。
なお、本プログラムからは、FMEA(設計故障モード影響解析)と院内感染の講義と演習を新たに取り入れ、「医療安全対策」としての診療報酬申請および院内感染委員研修会(8月7日午後)に対応しました。皆さんのご参加は全日程コースと日別が可能です。
2007年4月
医療安全セミナー2007夏季開催責任者
酒井 亮二 日本予防医学リスクマネージメント学会理事長
国際予防医学リスクマネージメント連盟理事長
吉田 謙一 東京大学大学院医学研究科法医学教授
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